ここまでを振り返ります。

1)マトリクス
2)ピラミッドストラクチャー
3)SWOT分析(7回目・8回目)
4)5F(前回と今回:11回目・12回目)
5)PPM:(2回目・3回目)
6)ランチェスター戦略(4回目~6回目)
7)PDCA(9回目・10回目)
8)基本戦略の考え

5F:5つの力に関しての説明です。

前回は、「1980年当時は、企業の経営戦略なんて経験と勘の世界でしたから、理論的な説明のあるポーター理論は斬新で科学的に見えたのです。」と書きました。それはその通りです。
しかし、物理や化学の世界と経営戦略の話を同列にできません。
経営学が本当の科学になるためには、後数百年は掛かるでしょう。

5F:5つの競争要因を思い出して下さい。

業界の収益性に影響を与える競争要因は次の5つ。
業界内の競含企業
新規参入の脅威
代替品の脅威
売り手の交渉力
買い手の交渉力

です、前回の図も載せます。

 

「5F分析 フリー画像」の画像検索結果

思い出しましたか?

しかし、例えば宅配便のクロネコヤマトを考えて見て下さい。

クロネコヤマトが宅配便事業で一番儲かつたのは、ライバルがいなかった創世記ではありません。その頃は市場も小さかったのです。宅配便事業規模が急拡大し始めたのは、ライパルが続々と参入してきてからです。

また、とても不活性な市場で「うちの業界は、代替品や新規参入の脅威がなく、顧客や調達先の交渉力が弱いから安心」などと思つている業界は一番危ないのです。

こんな不活性な業界にいる業者は、ひ弱なもやしのような企業です。何かの弾みで急に市場が活性化した場合、強力な競争相手が入ってきてひとたまりもなくやられてしまうでしょう。

やはり、このフレームワークもSWOT分析と同じで、現状分析ツールです。
この先をどうするのかを考えるには向かないのです。

マイケル・ポーターさんの競争戦略論は、まずこのファイブ フォース(five forces)のフレームワークから始まります。
時々誤解されますが、このフレームワークを使って同業他社をいかに出し抜くか、という発想ではありません。
それを指摘したのは、ポーター先生の偉いところです。
ポーターさんのおっしゃっていることは、同業他社は競争をもたらす要因の一部に過ぎず、業界の外部にその他の要因がいくつも存在すると言うことなんです。

これだけでもまあ、素晴しいと言ってよいのでしょう。

ところで、この5Fが提唱された1980年初頭と異なり、現在は業界の区分が複雑になっています。

いまは経済構造自体が激変しています。業界の境目もあやふやになりつつあります。
加えて、新しい業種業態も登場しており、業界というものがあるのかないのかも分からない場合もあります。
この分析は最初に業界を定義しないと使えないのです。
そして、業界を広くあいまいに定義すると、競争要因が複雑になりすぎて、業界特性を一義的に決められません。
逆に、業界を狭く厳密に定義すると競争要因は明確になり業界特性の把握も簡単ですが、その外部にある重要な要素を見逃す可能性が高くなります。

5F分析の最もやっかいなところでしょう。

あくまでも、方向性を決めるよりも自社の現状を分析するために使えるフレームワークとして使えば良いと思います。